デエビゴ(レンボレキサント)の副作用と注意点:作用・飲み方・運転
デエビゴ(一般名:レンボレキサント)は、脳の覚醒を保つ物質「オレキシン」の働きを抑える不眠症治療薬で、オレキシン受容体拮抗薬というタイプに属します。 通常は1日1回5mgを就寝直前に服用し、上限は10mgです。臨床試験での主な副作用は傾眠(眠気)10.7%、頭痛4.2%、倦怠感3.1%でした。 以下は2025年12月改訂の添付文書に基づく内容です(2026年9月時点)。
デエビゴ(レンボレキサント)とは:要点と作用の仕組み
| 項目 | 内容(添付文書より) |
|---|---|
| 一般名/商品名 | レンボレキサント/デエビゴ錠(2.5mg・5mg・10mg) |
| 国内承認 | 2020年1月 |
| 効能・効果 | 不眠症 |
| 用法・用量 | 通常、成人は1日1回5mgを就寝直前。症状により増減するが1日1回10mgを超えない |
| 規制区分 | 習慣性医薬品、処方箋医薬品(向精神薬の指定はなし) |
| 禁忌 | 成分に過敏症の既往がある方、重度の肝機能障害のある方 |
オレキシンは、起きている状態を保つ神経ペプチドです。添付文書によれば、レンボレキサントはオレキシンが2種類の受容体(OX1・OX2)に結合するのを可逆的に妨げ、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させて睡眠を誘発すると考えられています。 ベンゾジアゼピン系などがGABAという物質の働きを強めて脳の活動を抑えるのに対し、覚醒を保つ仕組みの側に働きかける点が異なります。
不眠症の患者949例(うち日本人161例)の臨床試験では、寝つくまでの時間・睡眠効率・中途覚醒時間のいずれも、投与6か月時点でプラセボとの間に統計学的な有意差が認められたと記載されています。寝つくまでの時間(中央値)は、6か月時点でプラセボ群が約11分、5mg群が約22分、10mg群が約28分の短縮でした。プラセボ群でも短縮しており、効果の感じ方には幅があります。
飲み方:添付文書の用法・用量
- 就寝の直前に服用する。寝る支度を済ませてから飲みます
- 食事と同時、食直後は避ける。血中濃度が最高になるまでの時間が約2時間遅れ、効果があらわれるのが遅くなるおそれがあります
- 服用後、睡眠の途中で起きて仕事などをする可能性があるときは飲まない
- 飲み忘れたとき:2回分を一度に飲まない。翌晩の就寝時に通常どおりの量を飲みます
- 自己判断で量を増やさない。海外の試験では、量が増えるほど傾眠が増えたと記載されています
次の場合は、少ない量にすることが添付文書で定められています。
- CYP3Aという酵素を中程度以上に妨げるお薬(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシンなど)を併用する場合:投与の可否を慎重に判断し、併用するなら1日1回2.5mg
- 中等度の肝機能障害がある場合:1日1回5mgを超えない
症状がよくなった場合は、続ける必要があるかを検討し、漫然と続けないこととされています。
主な副作用と、相談が必要な症状
添付文書に記載されている副作用は次のとおりです。
| 頻度 | 副作用 |
|---|---|
| 3%以上 | 傾眠(10.7%)、頭痛(4.2%)、倦怠感(3.1%) |
| 1〜3%未満 | 浮動性めまい、睡眠時麻痺、異常な夢、悪夢、悪心、体重増加 |
| 1%未満 | 注意力障害、幻覚、錯乱状態、動悸、口内乾燥、腹痛、回転性めまい、耳鳴、食欲亢進、多汗、転倒、筋肉痛、ALT上昇など |
| 頻度不明 | 睡眠時随伴症(眠ったまま行動するなど)、AST上昇、眼痛 |
「重大な副作用」の項目は、2025年12月改訂の添付文書には設けられていませんが、起こりえないという意味ではありません。
すぐに処方医へ連絡してほしい場合
- 誤って多く飲み、強い眠気、息苦しさ、唇や指先が青紫色になる、視野に光が走るなどの症状が重なった
- 実際にはないものが見える・聞こえる、混乱する
- 眠っている間に歩き回る、食事をするなど、本人が覚えていない行動があった
次の診察を待たずに相談してよい場合
- 日中まで眠気やだるさが残り、仕事や生活に支障がある
- 悪夢や金縛りがつらい、続く
- 飲んでも変化を感じない(自己判断で増量しないでください)
服用できない方・注意が必要な方と、飲み合わせ
禁忌(服用できない方)は、成分で過敏症を起こしたことがある方と、重度の肝機能障害のある方です。
使い始める前に医師に伝えてほしい方
- ナルコレプシー、カタプレキシー(情動脱力発作)のある方、脳に器質的な障害のある方
- 軽度〜中等度の肝機能障害、重度の腎機能障害のある方:血中濃度が上がるおそれ
- 中等度以上の呼吸機能の障害、睡眠時無呼吸、慢性閉塞性肺疾患のある方:安全性が確立していない範囲があります
- 妊娠中・妊娠の可能性のある方:治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用
- 授乳中の方:母乳中へ移行することが確認されており、授乳を続けるかどうかを医師と相談します
- 高齢の方:血中濃度が高くなる傾向があり、慎重に使用することとされています
飲み合わせ
レンボレキサントに併用禁忌のお薬は設定されていませんが、併用注意は次のとおりです。
- CYP3Aを妨げるお薬(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、フルコナゾール、ベラパミルなど):作用が強く出るおそれ。フルコナゾールとの併用で、血中濃度の指標(AUC)が約4倍になったという試験結果があります
- CYP3Aを誘導するお薬(リファンピシン、フェニトインなど):作用が弱まるおそれ
- 中枢神経を抑えるお薬(フェノチアジン系、バルビツール酸系など):作用が重なるおそれ
- アルコール:服用時は飲酒を避ける
水虫や感染症のお薬、血圧のお薬、市販薬を含め、飲んでいるお薬はすべて医師・薬剤師に伝えてください。
翌朝の眠気と運転
添付文書の「重要な基本的注意」には、影響が服用の翌朝以後に及び、眠気、注意力・集中力・反射運動能力の低下が起こることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意する、と書かれています。患者向医薬品ガイドでも、この薬の使用中は運転などを行わないこと、とされています。
参考になる試験結果も添付文書に載っています。
- 健康な成人・高齢者で、就寝前に5mgまたは10mgを服用し、翌朝(約9時間後)の運転能力を調べた試験では、プラセボと比べて統計学的に有意な影響は認められませんでした。ただし10mgでは5mgより軽微な低下がみられています
- 55歳以上を対象にした試験では、服用約4時間後にふらつきの増加、10mgで注意力・記憶力の低下がみられ、不眠症の患者では翌朝(約8時間後)にも注意力の低下が認められました
- 消失半減期は約47〜51時間(反復投与14日目)と長めです。一方、10mgを反復投与したときの血中濃度は、最高70.2ng/mLに対し、服用3時間後で31.4、8時間後で17.9ng/mLと記載されています
試験で有意差がなかったことと、添付文書が運転を避けるよう求めていることは、両方とも事実です。運転や危険な作業が欠かせない方は、処方の前に必ず医師に伝えてください。 夜中にトイレに起きるときのふらつき・転倒にも注意が必要です。
依存性・向精神薬の指定と、オンライン診療での扱い
レンボレキサントは、麻薬及び向精神薬取締法の向精神薬には指定されていません。一方、添付文書の規制区分は習慣性医薬品です。 添付文書には、薬物乱用の経験がある健康成人を対象にした海外の試験で、レンボレキサント(10〜30mg)の薬物嗜好性などの主観的評価がプラセボより高く、ゾルピデム30mg・スボレキサント40mgと同程度だったと記載されています(20mg・30mgは承認用量を超える量です)。「依存しない薬」と言い切ることはできません。
厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は、初診のオンライン診療で麻薬・向精神薬を処方しないこと、基礎疾患などの情報が把握できていない患者に8日分以上を処方しないことを定めています。レンボレキサントは向精神薬ではないため、初診のオンライン診療でも処方の対象になりえますが、日数は原則7日分までです。 処方するかどうかは診察で決まり、お薬を指定すれば出るというものではありません。
ほかのオレキシン受容体拮抗薬との違い
2026年9月時点で、国内では4成分が承認されています。以下は各添付文書に記載された事実の比較で、優劣を示すものではありません。
| スボレキサント(ベルソムラ) | レンボレキサント(デエビゴ) | ダリドレキサント(クービビック) | ボルノレキサント(ボルズィ) | |
|---|---|---|---|---|
| 国内承認 | 2014年9月 | 2020年1月 | 2024年9月 | 2025年8月 |
| 通常の用量(1日1回・就寝直前) | 成人20mg、高齢者15mg | 5mg(10mgまで) | 50mg(状態に応じ25mg) | 5mg(10mgまで) |
| 併用禁忌のお薬 | あり(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビルなど) | 設定なし(併用時は2.5mgに減量) | あり(同様のお薬) | あり(同様のお薬) |
| 重度の肝機能障害 | 血中濃度上昇のおそれ(注意) | 禁忌 | 禁忌 | 禁忌 |
| 消失半減期(添付文書の値) | 約10時間(日本人、40mg単回) | 約47〜51時間(反復投与) | 約6〜7時間(非高齢者) | 約2時間 |
4成分とも向精神薬の指定はなく、規制区分は習慣性医薬品です。半減期は試験の条件が異なるため単純には比べられず、その長さがそのまま効き目の長さや翌朝の眠気の強さを表すわけでもありません。どの薬が合うかは、不眠のタイプ、年齢、肝臓の働き、飲んでいるお薬などをふまえて医師が判断します。
添付文書で「確立していない」「データがない」とされていること
- 小児を対象とした臨床試験は行われていません
- 重度の肝機能障害のある方での薬の動きは検討されていません
- ほかの不眠症治療薬と併用したときの有効性・安全性
- 中等度以上の睡眠時無呼吸・慢性閉塞性肺疾患の方に長期に使った場合の安全性
- 主な臨床試験の期間は12か月までです
診療ガイドラインは、生活習慣の見直しを基本とし、症状がよくなれば減量・休薬を目指すとしています。
まとめ
- デエビゴ(レンボレキサント)は、覚醒を保つオレキシンの働きを抑える不眠症治療薬。通常1日1回5mgを就寝直前、上限10mg
- 主な副作用は傾眠10.7%・頭痛4.2%・倦怠感3.1%。悪夢や睡眠時麻痺も記載されている
- 重度の肝機能障害では禁忌。併用禁忌のお薬はないが、一部の抗真菌薬・抗菌薬などとの併用時は2.5mgに減量。服用時の飲酒は避ける
- 添付文書は、翌朝以後も運転など危険な操作をしないよう求めている
- 向精神薬ではないが習慣性医薬品。自己判断で増量・中止せず、合わないと感じたら処方医に相談する
当院でのご相談について
当院(渋谷駅まちかどクリニック)は、建物に看板を出していない一室で、完全予約制・お一人ずつ不眠のご相談をお受けしています。来院が難しい場合はオンライン診療も行っています。健康保険を使わない自由診療のため費用は全額自己負担で、お薬代も保険診療より高くなります。オンライン初診のお薬は7日分までで、向精神薬に該当するお薬はオンライン診療ではお出ししていません。お薬を指定してのご希望にはお応えできない場合があり、肝臓の病気や併用薬、運転の状況などによっては、お薬をお出ししないことや対面の医療機関の受診をお願いすることがあります。
LINEで相談するよくある質問
デエビゴは飲んでからどのくらいで効いてきますか。
添付文書では、血液中の濃度が最も高くなるのは服用後およそ1〜1.5時間(中央値)です。食事と同時や食直後に飲むとこの時間が約2時間遅れるため、就寝直前に、食事と時間をあけて服用することとされています。
デエビゴに依存性はありますか。
向精神薬には指定されていませんが、添付文書の規制区分は習慣性医薬品です。薬物乱用の経験者を対象にした海外の試験では、薬を好む程度の評価がプラセボより高かったと記載されており、依存の心配がまったくない薬とは言えません。
デエビゴを飲んだ翌日に車を運転してもよいですか。
添付文書には、影響が翌朝以後に及ぶことがあるため自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意する、と書かれています。仕事や生活で運転が必要な方は、処方の前に必ず医師に伝えてください。
お酒を飲んだ日にデエビゴを飲んでもよいですか。
添付文書では、服用時には飲酒を避けることとされています。アルコールとの併用で、認知機能の低下が重なり、レンボレキサントの血中濃度が上がった(最高濃度35%上昇)という試験結果が記載されています。
デエビゴで悪夢を見ることはありますか。
添付文書では、異常な夢・悪夢は1〜3%未満、睡眠時麻痺(いわゆる金縛り)も1〜3%未満の副作用として記載されています。つらい場合や続く場合は、自己判断で中止せず処方した医師に相談してください。
参考にした情報
- 2024年 福井大学医学部 卒業
- 2024年 医師免許取得
- 都内の大学病院に勤務
- 2026年 当院を開業
- 認定産業医
この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の診断や治療の指示ではありません。症状がある場合は医療機関にご相談ください。