AGA治療薬の種類と副作用:フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジル
AGA(男性型脱毛症)の治療薬で、日本皮膚科学会のガイドラインが推奨度A(行うよう強く勧める)としているのは、フィナステリド内服・デュタステリド内服・ミノキシジル外用の3つです。 内服薬の効果を確認するには通常6か月かかり、やめると効果は続きません。ミノキシジルの飲み薬は国内未承認で、推奨度D(行うべきではない)です。このページでは、3つの薬の違いと副作用、使う前に知っておきたい注意点を整理します。
AGA治療薬は3つ:ガイドラインの推奨度で比べる
「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(2026年9月時点で学会が公開している最新版)と、各添付文書の内容をまとめました。
| 項目 | フィナステリド(内服) | デュタステリド(内服) | ミノキシジル(外用) |
|---|---|---|---|
| 推奨度(男性) | A | A | A(5%) |
| 推奨度(女性) | D(行うべきではない) | D(行うべきではない) | A(1%) |
| 主な製品名 | プロペシア(後発品あり) | ザガーロ(後発品あり) | 市販の発毛剤(一般用医薬品) |
| 作用 | II型5α還元酵素を阻害し、DHT(脱毛に関わる男性ホルモン)を減らす | I型・II型の両方を阻害 | 頭皮に塗って発毛を促す |
| 添付文書の効能 | 男性における男性型脱毛症の進行遅延 | 男性における男性型脱毛症 | 市販薬のため製品ごとの説明書を確認 |
| 用法 | 0.2mgを1日1回。上限1mg | 0.1mgを1日1回。必要に応じて0.5mg | 頭皮に塗布。回数と量は製品の説明書に従う |
| 効果の確認 | 通常6か月 | 通常6か月 | ガイドライン掲載の試験は16〜48週 |
| 主な副作用 | 性機能の低下、肝機能障害、抑うつ症状 | 性機能の低下、肝機能障害・黄疸、乳房の症状 | かゆみ、赤み、かぶれ、初期の抜け毛 |
| 使えない人 | 女性、20歳未満は安全性未確立 | 女性、小児、重度の肝機能障害 | 製品の説明書で確認 |
このほかガイドラインでは、自毛植毛術(男性)、LED・低出力レーザー照射、アデノシン外用(男性)が推奨度B(行うよう勧める)とされています。薬だけが選択肢ではありません。
内服薬:フィナステリドとデュタステリドの違い
どちらも、テストステロンをDHTに変える酵素(5α還元酵素)を阻害するお薬です。フィナステリドはII型のみ、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害します。
効果についてのデータ
- フィナステリド:日本人男性414名の試験(48週)で、1mg/日を服用した人の58%に写真評価で軽度改善以上がみられ、服用を続けた人では2年で68%、3年で78%だったとガイドラインに記載されています
- デュタステリド:917名の国際試験(6か月)で、全毛髪数と毛の太さの増加はデュタステリド0.5mgのほうがフィナステリド1mgより優れていました。一方、太い毛の本数には差がなく、写真評価の点数差もわずかで、ガイドラインは「両者の効果差については今後さらなる検討を要する」としています
「デュタステリドのほうが強いから良い」と単純には言えません。次に述べる副作用の頻度や、献血できない期間の違いなども含めて、医師と相談して決めるお薬です。
性機能に関する副作用
- フィナステリド:添付文書では、リビドー(性欲)減退が1〜5%未満、勃起機能不全・射精障害・精液量減少が1%未満。ガイドラインが引用する解析では、性機能障害の相対危険度は1.39(95%信頼区間0.99〜1.95)で、プラセボより高い傾向とされています
- デュタステリド:国際試験ではリビドー減少3.3%、勃起不全5.4%、射精障害3.3%。国内の52週の試験(120名)では、それぞれ8.3%、11.7%、5.0%と比較的高率でした
- どちらの添付文書にも、性機能の副作用が投与中止後も持続したとの報告があると記載されています。頻度は明らかになっていません
- 精液への影響:デュタステリドでは、52週の服用で総精子数が平均23%減少したという海外データがあります(平均値は正常範囲内)。フィナステリドでも、精液の質の低下が報告されています(中止後に改善したとの報告あり)。妊娠を希望している時期は、服用について医師に相談してください
肝機能・気分の変化
- どちらも主に肝臓で代謝されます。重大な副作用として肝機能障害(デュタステリドは黄疸も)が記載されており、頻度は不明です。デュタステリドは重度の肝機能障害がある方には使えません。体のだるさ、食欲低下、皮膚や白目が黄色いといった症状があれば受診してください
- フィナステリドは2023年8月に添付文書が改訂され、因果関係は明らかでないものの、自殺念慮・自殺企図・自殺既遂が報告されていること、うつ病やその既往がある方への注意が追記されました。PMDAによると、国内の報告例で因果関係が否定できないとされた症例はありませんが、海外のデータベースの解析や複数の論文を踏まえた改訂です
服用中に気分の落ち込みが続く、「消えてしまいたい」と感じるといった変化があれば、服用を中止して、処方した医師に連絡してください。つらい気持ちが強いときは、#いのちSOS(0120-061-338)、よりそいホットライン(0120-279-338)でも24時間相談できます。
ミノキシジル外用:塗り始めの抜け毛について
ミノキシジル外用は、男性では5%、女性では1%の製剤が推奨度Aです。国内では一般用医薬品として薬局などで販売されています。
- 副作用として、かゆみ、赤み、フケ、毛包炎、接触皮膚炎(かぶれ)、顔の多毛などが報告されています。ガイドラインが引用する試験では、皮膚症状は5%製剤で6%、プラセボで3%でした
- かぶれは、ミノキシジルではなく溶媒(プロピレングリコール)が原因のこともあります
- ガイドラインには、使い始めの時期に休止期脱毛(一時的な抜け毛)がみられることがあり、これが外用中止につながるおそれがあるため、患者への説明が必要と記載されています。いわゆる「初期脱毛」と呼ばれるものです。どのくらいの頻度で起き、どのくらい続くかについて、ガイドラインに数字の記載はありません
なお、内服薬(フィナステリド・デュタステリド)の添付文書には、服用初期の抜け毛についての記載はありません。抜け毛が急に増えた、円形に抜ける、頭皮に強い炎症があるといった場合は、AGA以外の脱毛症の可能性もあるため、皮膚科で相談してください。
ミノキシジルの内服は国内未承認・推奨度D
インターネット上では「ミノキシジルタブレット(ミノタブ)」が紹介されていることがありますが、ガイドラインの推奨度はD(行うべきではない)です。ガイドラインが挙げている理由は次のとおりです。
- ミノキシジル内服の有用性について、臨床試験が実施されていない(2017年版作成時点)
- もともと降圧剤として開発された薬で、日本では承認されていない。AGAの治療薬として承認している国もない
- 内服用製剤の添付文書(市販後調査欄)には、胸痛、心拍数増加、動悸、息切れ、呼吸困難、うっ血性心不全、むくみ、体重増加などの心血管系の副作用が記載されている
- 利益と危険性が十分に検証されていないため、男性・女性とも行わないよう強く勧める
未承認の薬で健康被害が出た場合、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。個人輸入については、厚生労働省が、品質・有効性・安全性の確認がなされていないこと、偽造製品の可能性があることを注意喚起しています。これはフィナステリドなどを海外から取り寄せる場合も同じです。
服用前に知っておきたい5つの注意
1. 女性と未成年は内服薬を使えない
フィナステリドは女性への適応がなく、閉経後の女性137名の試験で有効性が認められませんでした。妊婦が服用すると、男子胎児の生殖器の発育に影響するおそれがあり、妊婦・授乳中の女性は禁忌です。デュタステリドは女性と小児すべてが禁忌です。どちらも20歳未満での安全性と有効性は確立されていません。
2. 妊娠中の女性は薬に触れない
- フィナステリド:錠剤はコーティングされており、通常の取り扱いで成分に触れることはありません。ただし割れたり砕けたりした錠剤に、妊婦・妊娠の可能性のある女性・授乳中の女性は触れないこと、錠剤を割らないことが定められています
- デュタステリド:成分が皮膚から吸収されるため、女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に触れないこと、触れた場合はすぐに石けんと水で洗うこととされています
家族と同居している場合は、保管場所にも気を配ってください。
3. PSA検査(前立腺がん検診)の値が下がる
フィナステリドもデュタステリドも、前立腺がんの指標である血清PSAの値を約40〜50%低下させます。添付文書では、服用中にPSAを測る場合は測定値を2倍した値を目安に評価するとされています(デュタステリドは6か月以上服用している場合)。健康診断や人間ドックでPSA検査を受けるときは、服用していることを必ず伝えてください。
4. 献血ができない期間がある
日本赤十字社の案内では、フィナステリドは服薬中止後1か月、デュタステリドは服薬中止後6か月、献血ができません。服用をやめてすぐには献血できない点に注意してください。
5. 効果判定は6か月、やめると続かない
- フィナステリドは3か月、デュタステリドは12週で変化がみられる場合もありますが、添付文書ではどちらも効果の確認に通常6か月の連日服用が必要とされています
- 6か月以上服用しても変化がみられない場合は、投薬を中止することになっています。漫然と続ける薬ではありません
- 6か月を超えて続ける場合も、定期的に効果を確認して、続ける必要があるかを検討することとされています
- フィナステリドの効能は「進行遅延」です。ガイドラインには「内服を中止すると効果は消失する」と記載されています。AGAは思春期以降に始まり徐々に進行する脱毛症とされており、中止すれば再び進行すると考えられます。デュタステリドについては、中止後の毛髪量の変化は臨床試験で検討されていないとされています
つまり、内服薬は「飲んでいる間、進行を抑える」ためのお薬です。費用と副作用を含めて、続けられるかどうかを始める前に考えておくことが大切です。どちらの内服薬も、添付文書に「保険給付の対象とならない」と明記されており、費用は全額自己負担です。
まとめ
- ガイドラインで推奨度Aは、フィナステリド内服・デュタステリド内服・ミノキシジル外用の3つ。内服2剤は男性のみ
- 副作用は性機能の低下、肝機能障害など。中止後も性機能の症状が続いたという報告がある。フィナステリドは気分の変化にも注意が追記されている
- 効果の確認には通常6か月。変化がなければ中止を検討し、やめると効果は続かない
- 妊婦は薬に触れない。PSA検査は2倍で評価、献血は中止後1か月(フィナステリド)・6か月(デュタステリド)できない
- ミノキシジルの内服は国内未承認で、推奨度D(行うべきではない)
当院でのご相談について
当院(渋谷駅まちかどクリニック)では、AGAのご相談をお受けしています。健康保険を使わない自由診療のため、費用は全額自己負担です。建物に看板を出していない一室で、完全予約制・お一人ずつの診察です。来院が難しい日はオンライン診療でもご相談いただけます。ミノキシジルの内服薬は国内未承認のため、当院ではお出ししていません。ミノキシジルの外用薬は、薬局で購入できる市販薬をご案内しています。女性と20歳未満の方にはAGAの内服薬をお出しできず、診察の結果、皮膚科など他の医療機関の受診をお願いする場合があります。
LINEで相談するよくある質問
AGA治療薬にはどんな種類がありますか。
日本皮膚科学会のガイドラインで推奨度A(行うよう強く勧める)とされているのは、内服薬のフィナステリドとデュタステリド、外用薬のミノキシジルの3つです。内服薬2種類は男性のみが対象です。
フィナステリドの副作用は何ですか。
添付文書には、性欲の減退、勃起機能不全、射精障害、精液量の減少、肝機能障害、抑うつ症状などが記載されています。性機能の副作用は、服用をやめたあとも続いたという報告があります。
AGAの薬はどのくらいで効果が分かりますか。
添付文書では、フィナステリドもデュタステリドも、効果の確認には通常6か月の連日服用が必要とされています。6か月以上続けても変化がみられない場合は、中止を検討することになっています。
薬をやめるとどうなりますか。
ガイドラインには、フィナステリドは内服を中止すると効果は消失すると記載されています。AGAは徐々に進行する脱毛症のため、中止すれば再び進行すると考えられます。続けるかどうかは定期的に医師と見直します。
ミノキシジルの飲み薬は使えますか。
ミノキシジルの内服薬は国内で承認されておらず、日本皮膚科学会のガイドラインでは推奨度D(行うべきではない)とされています。内服用製剤の添付文書には、胸痛、動悸、むくみ、うっ血性心不全など心血管系の副作用が記載されているとされています。
参考にした情報
- 2024年 福井大学医学部 卒業
- 2024年 医師免許取得
- 都内の大学病院に勤務
- 2026年 当院を開業
- 認定産業医
この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の診断や治療の指示ではありません。症状がある場合は医療機関にご相談ください。