自由診療とは?保険診療との違い・費用・向いている場合を整理
自由診療とは、公的医療保険(健康保険)を使わずに受ける診療のことです。費用は全額自己負担で、料金は医療機関ごとに決められています。 保険が使える病気であれば、費用の面では保険診療のほうが有利です。自由診療を選ぶ意味があるのは、保険の対象にならない診療を受ける場合や、費用を理解したうえで保険を使わない理由がある場合に限られます。このページでは、保険診療との違い、混合診療の原則、医療費控除の考え方、向き・不向きを整理します。
保険診療と自由診療の違い
| 保険診療 | 自由診療 | |
|---|---|---|
| 費用の負担 | 医療費の1〜3割を窓口で負担(70歳未満の被保険者は3割) | 全額自己負担 |
| 料金の決まり方 | 国が定めた診療報酬。全国一律 | 医療機関がそれぞれ決める |
| 対象 | 保険で認められた病気やけがの治療 | 保険の対象にならない診療。または保険を使わずに受ける診療 |
| 保険証・マイナ保険証 | 必要 | 不要(本人確認書類を求められることがある) |
| 健康保険への請求 | 医療機関が保険者に請求する | 請求しない |
| 医療費通知・マイナポータルの医療費情報 | 載る | 載らない |
| 高額療養費 | 対象 | 対象外 |
| 医療費控除 | 治療のための費用は対象 | 治療のための費用は対象。美容・予防目的は対象外 |
| 診療録(カルテ) | 5年間保存 | 5年間保存(同じ) |
| 生命保険などの告知義務 | あり | あり(同じ) |
最後の2行(診療録と告知義務)は、自由診療でも変わらない点です。「自由診療なら記録が残らない」「保険加入時に告知しなくてよい」という理解は誤りです。
なぜ全額自己負担になるのか
公的医療保険は、加入者が保険料を出し合い、病気やけがの治療にかかる費用をまかなう仕組みです。保険で受けられるのは、国が「保険で給付する」と認めた診療に限られます。
協会けんぽは、健康保険が使えない例として次のものを挙げています。
- 美容を目的とする整形手術
- 近視の手術など
- 研究中の先進医療
- 予防注射
- 健康診断、人間ドック
- 正常な妊娠・出産
自由診療になるのは、大きく分けて次の3つの場合です。
- そもそも保険の対象にならない診療:病気の治療にあたらないもの、予防や美容を目的とするもの
- 保険で認められていない薬や治療法:国内で承認されていない薬、承認された使い方以外での使用など
- 保険が使える病気だが、保険を使わずに受ける場合:自由診療だけを行う医療機関を受診する場合など
保険診療の料金は国が定めた全国一律の基準で計算されますが、自由診療の料金は医療機関が決めます。同じ薬、同じ検査でも、医療機関によって金額が異なります。
混合診療の原則:保険と自由診療は混ぜられない
協会けんぽの説明では、健康保険では、保険が適用されない保険外診療があると、保険が適用される診療も含めて、医療費の全額が自己負担になるとされています。いわゆる「混合診療」は原則として認められていません。
例外として、厚生労働大臣が定めた次の3つは、保険診療との併用が認められています(保険外併用療養費制度)。
- 評価療養:先進医療、治験に関する診療、薬事承認後で保険収載前の医薬品の使用など。将来の保険導入を評価するためのもの
- 患者申出療養:国内で未承認の医薬品などを、患者さんの申出をもとに保険外併用療養として使う仕組み。2016年度に創設
- 選定療養:差額ベッド、歯科の金合金、予約診療、大病院の初診・再診など。患者さんの選択によるもの
この場合、診察・検査・投薬・入院料など通常の治療と共通する部分には保険が使われ、上乗せの部分だけが自己負担になります。
読者の方に関係するのは、次の点です。「診察は保険で受けて、薬だけ自費で」といった組み合わせは、同じ病気の一連の治療の中では原則としてできません。また、保険診療で治療中の病気がある方が別の医療機関で自由診療を受けるときは、薬の重複や飲み合わせを避けるため、治療中の病気と服用中のお薬を必ず伝えてください。
費用で確認しておきたいこと
自由診療の料金は医療機関によって違うため、受診の前に次の点を確認してください。
- 診察料(初診・再診)、薬代、検査料、送料を合わせた総額
- 継続する場合の1か月あたりの費用と、想定される治療期間
- 検査や追加の処方が必要になった場合の費用
- 途中でやめる場合の扱い(定期配送やまとめ払いの契約になっていないか)
費用が高額になっても、高額療養費の払い戻しは受けられません。高額療養費は、保険診療で支払った自己負担額が一定額を超えたときの制度だからです。
自由診療の費用は医療費控除の対象になるか
判断の軸は「保険診療か自由診療か」ではなく、治療のための費用かどうかです。国税庁の説明を整理します(2026年4月1日現在の法令等に基づく記載)。
- 対象になるもの:医師または歯科医師による診療または治療の対価、治療または療養に必要な医薬品の購入の対価
- 対象にならないもの:病気の予防や健康増進のための医薬品(ビタミン剤など)、健康診断の費用(原則)
- 歯科の説明では、保険のきかない自由診療であっても、一般的に支出される水準を著しく超えない治療の対価は対象になるとされています。一方、容ぼうを美化するための費用は対象になりません
つまり、自由診療でも治療を目的とした診療や薬の費用は対象になりえますが、美容や予防を目的としたものは対象になりません。どちらにあたるか迷う場合は、税務署に確認してください。
手続き上の注意もあります。医療費控除の金額は、その年に支払った医療費から保険金などの補てん額を引き、さらに10万円(総所得金額等が200万円未満の方はその5%)を引いた額で、上限は200万円です。自由診療の費用は医療費通知に載らないため、領収書をもとに「医療費控除の明細書」に自分で記入します。領収書は、確定申告の期限から5年間は保存が必要です。
自由診療でも変わらないこと
- 診療録は保存されます。 医師法により、診療録の保存期間は5年間です。健康保険に請求が行かないだけで、受診の記録がなくなるわけではありません
- 生命保険や団体信用生命保険の告知義務は変わりません。 告知で問われるのは、医師の診察・検査・治療・投薬を受けたかどうかで、保険を使ったかどうかではありません
- 薬の副作用のリスクは同じです。 重い副作用が起きたときの公的な救済制度(医薬品副作用被害救済制度)は、製造販売の承認を受けた医薬品を、添付文書の効能効果・用法用量・使用上の注意にしたがって使用した場合が基本とされています。国内で承認されていない薬や、承認された使い方から外れた使用では、救済を受けられないことがあります。自由診療で薬を処方されるときは、国内で承認されている薬か、承認された使い方かを確認してください
自由診療が向いている場合・向いていない場合
向いている場合
- 受けたい診療が、そもそも保険の対象になっていない
- 扶養に入っているなどの事情で、健康保険の医療費通知に受診を載せたくない。そのために全額自己負担になることを理解している
- 料金の総額と治療期間の見通しを確認し、無理なく続けられる
向いていない場合(保険診療のほうが適している場合)
- 保険が使える病気で、長期の通院や服薬が見込まれる。3割負担との差が積み重なります
- 検査、入院、手術が必要になりそうな症状がある。高額療養費が使えないため、負担が大きくなります
- 気分の落ち込みが強い、急な痛みや出血がある、体重が急に減ったなど、詳しい検査や専門的な治療が必要な症状がある
- 費用が理由で、必要な通院を途中でやめてしまうおそれがある
知られたくないという理由だけで自由診療を考えている方は、保険診療で受診しても病名が会社に伝わる仕組みはないことを、まず知っておいてください。知られたくない相手が会社だけであれば、保険診療で足りることが多いはずです。
まとめ
- 自由診療は、公的医療保険を使わない診療。全額自己負担で、料金は医療機関が決める
- 保険診療と保険外の診療を併用すると、原則として全体が自己負担になる(混合診療の原則)。評価療養・患者申出療養・選定療養は例外
- 医療費控除は、治療のための費用なら自由診療でも対象になりうる。美容・予防目的は対象外。領収書を保存する
- 自由診療でも、診療録は5年間保存され、保険加入時の告知義務も変わらない
- 長期の治療や検査・入院が必要な場合は、保険診療のほうが適している
当院でのご相談について
当院(渋谷駅まちかどクリニック)の診療は、すべて自由診療で、費用は全額自己負担です。健康保険は使えないため、保険診療より費用は高くなり、高額療養費の対象にもなりません。建物に看板を出していない一室で、完全予約制・お一人ずつ診察しており、来院が難しい場合はオンライン診療もご利用いただけます。診察の結果、保険診療での検査や治療が適していると判断した場合は、保険診療を行う医療機関の受診をお願いする場合があります。
LINEで相談するよくある質問
自由診療とは何ですか。
公的医療保険(健康保険)を使わずに受ける診療のことです。費用は全額自己負担で、料金は医療機関がそれぞれ決めます。保険診療のように全国一律の料金ではありません。
自由診療の費用は医療費控除の対象になりますか。
保険か自由診療かではなく、治療のための費用かどうかで判断されます。国税庁は、医師による診療や治療の対価は対象、容ぼうを美化するための費用や病気の予防・健康増進のための費用は対象外としています。個別の判断は税務署に確認してください。
保険診療と自由診療を同じ日に一緒に受けられますか。
一連の診療の中で保険診療と保険外の診療を併用すると、原則として保険が使える部分も含めて全額が自己負担になります。例外として、先進医療や差額ベッドなど、国が定めた「評価療養」「患者申出療養」「選定療養」は併用が認められています。
保険証がなくても自由診療は受けられますか。
保険証やマイナ保険証の提示は不要です。ただし、本人確認書類の提示を求められることがあります。オンライン診療では、指針により本人確認が必要とされています。
自由診療なら、受診した記録は残りませんか。
残ります。診療録(カルテ)は医師法により5年間の保存が義務づけられており、自由診療でも同じです。残らないのは、健康保険への請求と、それに基づく医療費通知への記載です。
参考にした情報
- 2024年 福井大学医学部 卒業
- 2024年 医師免許取得
- 都内の大学病院に勤務
- 2026年 当院を開業
- 認定産業医
この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の診断や治療の指示ではありません。症状がある場合は医療機関にご相談ください。
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